【5月5日は端午の節句】菖蒲(ショウブ)・花菖蒲・杜若(カキツバタ)・アイリスの違いと、いけばな実例3選

ゴールデンウィークの真ん中、5月5日は「端午の節句」ですね。
この時期になると、柏餅やちまきと並んで「菖蒲(ショウブ)」が店頭に並びはじめます。
また、「端午の節句には菖蒲湯に入る」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ一口に“菖蒲”と言っても、実は「菖蒲」「花菖蒲」「杜若(カキツバタ)」「アイリス」など、似た植物がいくつもあります。
今回は、それぞれの違いと見分け方、そして家庭で楽しめる菖蒲を使ったいけばな実例3選をご紹介します。
「端午の節句」の意味や菖蒲の飾り方について、あらためて知ってみませんか?


端午の節句と菖蒲
端午の節句に菖蒲を飾る理由
端午の節句は、武家の男子誕生を祝い、成長を祈る節句でした。この節句で菖蒲を使うようになったのは、武士を敬うという意味の『尚武』ショウブと同じ音であり、また菖蒲の葉が細長く刀剣に似ている事、その葉の持つ強い香りが邪気を払うと信じられていたことからだと言われています。
菖蒲(ショウブ)
菖蒲湯に使われる『菖蒲』(葉菖蒲)はサトイモ科の植物です。
血行促進など、薬草としての効能があり、清々しい香りにはリラックス効果も期待できると言われています。
花菖蒲
紫色などの花を付けた花菖蒲はアヤメ科の植物です。
菖蒲湯に使われる菖蒲(葉菖蒲)と花の付いた花菖蒲は別のもので、6月の梅雨の頃に花を咲かせその姿は日本各地で見られます。
花菖蒲を使ったいけばな実例

- 花菖蒲を2つのグループに分け、自生している姿に似せて生けてあります。
- 平面的な飾り方なので、節句飾りの後ろや、床に置いて並べて飾るのも良いです。

- 元々の花に付いている葉を外し、花の形を決めてから花が目立つように葉の長さを短くして、再度、葉を花と花の間に入れてあります。
- 長さも奥行きもあるので、菖蒲の存在感を感じられるいけ方です。

- 花菖蒲と、モッコウバラ、シャクヤクを一緒に生けたものです。花菖蒲の本数が少ない時には、その足元にボリュウムのある花を入れてバランスをとります。
花菖蒲は、最初の花が終わり花がらを取り除くと、もう一つの花(二番花)が出て咲くこともあります。花が萎んでしまっても優しく最初の花を取り除いてみて下さい。もう一度、次の花を咲かせて楽しむ事が出来るかも知れません。
花菖蒲、アイリス、杜若(カキツバタ)の違い
花菖蒲

- 6月頃に花が咲く。
- 湿地に自生する。
- 広がった花びらの付け根が黄色。
- 葉の幅は狭く葉脈がハッキリしている。
アイリス
ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)
4〜5月に花を咲かせる。
乾いた土地に自生し育てる場合も乾燥した土で行う。
開いた花びらの根元が黄色く(線状よりも広め)、葉は幅広。
ダッチアイリス(オランダアイリス)

- 4〜5月に花を咲かせる。
- 乾いた土を好む。
- 開いた花びらの付け根が黄色く線状よりやや広めの幅。
- 葉は細め。
杜若(カキツバタ)

- 5月の中旬に花を咲かせる。
- 水中から生えている。
- 広がった花びらの付け根が白い。
- 葉は幅広で主脈がはっきりとは出てい流。


花菖蒲を飾る時のコツと楽しみ方
花菖蒲はスラリとした茎と涼やかな花姿が特徴で、和風・洋風どちらの空間にも映え、飾る際のちょっとしたコツで、より美しく、長く楽しむことができます。
● 一輪でも絵になる美しさ
花菖蒲は一輪でも存在感があるため、背の高い花器に一本だけを挿すだけでも凛とした雰囲気になります。
玄関の靴箱の上なら少し短めに、床に花台を置いて飾るなら高めにガラスの花器などを使って飾るのもいいですね。
床の間には和テイストの花瓶など使って飾ると、季節感がぐっと高まります。
● 季節の花と組み合わせて
花菖蒲だけでなく、ドウダンツツジのような季節の草花と合わせることで、より自然でやわらかな印象になります。
平たい花器だけでなく、涼しげなガラスの器に活けるのもおすすめです。
● 日持ちをよくするための工夫
花菖蒲はやや水揚げが難しい花です。切り口を斜めに切り戻したり、深めの花器に活けてこまめに水を替えることで、美しさを長持ちさせることができます。
● 子どもと一緒に楽しむ
こどもの日に合わせて、小さな瓶やコップに一輪ずつ飾って子ども部屋や節句飾りの隣に置くのもおすすめです。
吸水スポンジを使って自由に挿して、親子で楽しむことも出来ます。
まとめ
花の咲く時期には多少の違いがありますが、花菖蒲・杜若・アイリスはとてもよく似ていて、見分けるのが難しく感じることもあります。そんなときは、葉の形や特徴を観察するのがひとつのヒントになります。
たとえば、花菖蒲の葉はスジがはっきりと目立ち、全体に平たく広がる印象です。アイリスは細長く立体的で、少し硬さを感じるような形。杜若は花菖蒲ほど葉脈が目立たず、やや柔らかな雰囲気があります。迷ったときは、ぜひ葉の違いを比べてみてください。
もともと端午の節句は、男の子の健やかな成長を願う日でしたが、1948年に「こどもの日」として国民の祝日に制定されてからは、すべての子どもの幸福と、お母さんへの感謝を伝える日にもなりました。
『端午の節句』と『こどもの日』は、ルーツは異なりますが、どちらも子どもたちの未来を願う日。そんな気持ちを込めて、花菖蒲を飾ってみてはいかがでしょうか。

